東海愛知新聞バックナンバー
 2月3日【日】
休日ウオッチング続けた成果
3冊目の自然観察記録
三浦さん(緑丘小教頭)が出版
岡崎市

岡崎市の自然、とくに鳥類に詳しい三浦重光さんが最近の観察・研究をまとめた冊子『こだわってみた自然 3』(A5判、140ページ)を出版した。副題「理科教師の休日ウオッチング」が示すように三浦さんは現在、同市緑丘小学校の教頭。
 小学生のころから生き物に興味を持ち、大学も農学部に進む。大学2年のとき、沖縄へチョウの収集と写真撮影に出掛けてから本格的にチョウを観察するようになった。その後、ガにも興味を引かれ、昭和56(1981)年には岡崎市教育委員会からの依頼で市内のガについて調査。研究の成果は市教委によって冊子『岡崎市のガ』として刊行された。また、同60年には「岡崎市史自然編」にガ類について執筆。  その後は小学校に勤務しながら自然観察を続け、平成9年にはシリーズの第1冊目『こだわってみた自然』を出版した。
 同書では、市内に生息する哺乳類(主にシカ)、鳥類(主にオオタカ)、カエルなどの両生類、ハ虫類、魚類、昆虫類を取り上げている。
 市内で観察した13種類のタカを追い求めた記録をまとめた『こだわってみた自然 2』を15年に出版。


サシバを追って沖縄へ

3月に定年退職を迎える三浦さんは、「理科教師の休日ウオッチングに一区切りつけるために3冊目を出版した」と言う。
 同書には、山綱町の扇子山で観察したサシバとアカハラダカの渡りを追って2年半の間に計7回、沖縄県の久米島へ渡った記録が載っている。島の住人である大学時代の友人の協力でアカハラダカの渡りのルートをピンポイントで予想し、見事撮影に成功するエピソードは圧巻。
 そのほか、市内を東部、北部、南部などに分けて地域の生き物の様子を記録した。
 岡崎市東部、扇子山のノウサギ、男川のオヤニラミなど、北東部、生平学区のシカやイノシシ、北部にある恵田小学校周辺の野鳥、村積山のセミヤドリガなど、南部の福岡町ではチョウゲンボウやオオタカ、イタチやヌートリアの観察記録を所載。楽しい読み物になっている。
 表紙を飾る、真っ赤に燃えるイロハモミジを背に枝に憩うヤマガラの鮮やかな写真をはじめ、本文中の約150枚のカラー写真は貴重な記録であり、出来栄えもすばらしい。
 三浦さんは「岡崎の生き物を見つめる道こそ自分にできることだとその意義を見出してきた。また、生き物を観察してきた体験を基に、子どもたちに生きることの意味と厳しさを考えさせようとしてきた」(あとがき)とウオッチング人生を振り返っている。
 1冊1,500円。市内の岡崎書房、正文館、けやき書店光ヶ丘店で販売している。





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