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東海愛知新聞

藤川駅西の踏切改良を訴え

岡崎市額田中の同級生ら
人の輪に支えられ署名活動
級友の事故死きっかけ

 県立岡崎東高校1年生の原田雄希君=当時15歳=が一昨年、踏切事故で亡くなったのを機に、額田町額田中学校(現・岡崎市額田中学校)時代の原田君の同級生らが、1年2カ月にわたる署名活動で、踏切に代わる歩道橋か地下道の整備を市に求める9,204人分の署名を集めた。活動では「二度と同じ被害を出したくない」と常に願ってきた。
 原田君は平成17年1月13日、下校中に通りかかった名鉄藤川駅西の踏切内で、特急電車にはねられ亡くなった。同じ踏切では過去にも事故が起きていた。
 事故後、中学時代の原田君と同級生だった山田尚悟君(18)は、原田君の死をちゃかすような噂うわさを耳にした。
 「仲間の死をなぜ笑うのか」。山田君は憤りを覚えると同時に「何とか自分たちの手で新たな犠牲を防ぎたい」と、踏切を渡らないで済む整備を市に要望する署名活動を決意した。
 署名活動は、原田君の一周忌から始まった。山田君と、同じく原田君の同級生だった今泉由佳さん(18)らは、他の同級生をはじめ、それぞれ通う高校のクラス、部活動、生徒会、自宅の近所、友人、知人などあらゆるところに経緯を説明し署名を求めた。
 多くは進んで応じてくれたが、時には「こんな事は意味がない」という言葉を吐き捨てられたり、目の前で署名用紙を破り捨てられたりしたこともあったという。
 「一生懸命やっても伝わらないのか」。落胆した時に支えたのは説明に熱心に耳をかたむけ、自分のことのように賛同してくれた署名者への感謝と、「人の輪の強さは何かを変えられる」という信念だった。
 5千人分の署名が集まり昨年3月、名鉄本社にまず千人分を届け、6月には市との話し合いで、署名活動の現状などを伝えた。署名の輪はしだいに大きくなり、友達の友達といった人づてに県内をはじめ、全国23道府県に広がった。
 市では東部の活性化を目的に「まち・みち交流創造プロジェクト検討会」を発足させた。事故のあった踏切の廃止を含む藤川駅のバリアフリー化も課題に盛り込まれ、歩道橋による立体化が有力視されている。
 山田君や今泉さんらは6日、集まったすべての署名を持参して市役所を訪れ、検討会のオブザーバーである川嶋直樹助役に、署名活動を汲んでくれた感謝やこれまでの経緯を伝えた。
 川嶋助役は「具体的な歩道橋の設計などはこれからだが、3年後をめどにできるだけ早く事業化したい」と述べた。

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