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東海愛知新聞

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美博 学芸員厳選の収蔵品展「贅沢な対話」

岡崎市美術博物館で、学芸員が厳選した同館所有の作品をごく少数展示する収蔵品展が開かれている。新型コロナウイルス感染拡大の影響による臨時休館明け最初の展示会で、「3密(密閉、密集、密接)を避けて安全に配慮しつつ、展示する機会が少ない収蔵品を楽しんでもらおう」という試みだ。7月12日まで。()

同展は学芸員3人が各2週間を会期に、独自のテーマを設けて作り上げる3章構成。コロナ禍以前に開かれていた展示会の作品点数は最大数100点に及んだが、今回は同館が掲げる「徳川家康が生きた時代」「東と西(東洋と西洋)の出会い」「マインドスケープ」のコンセプトで収集した作品を、各章で数点から十数点に限定している。

もともと天井や壁が褐色で統一され、漆黒が強調された展示空間は可動壁を最小限にし、スポットライトで置いた作品の存在感を際立たせた。通常は作品のそばに添えられる解説はカードにして、展示空間の出口に設置されている。展示構成は「来館者が落ち着いて限られた作品をじっくりと鑑賞し、率直に感じた思いを最も大切にしてもらいたい」との狙いだ。

第1章のテーマは、「予期せぬ混乱(コロナ禍)からの再開」や「東と西の出会い」のコンセプトに立ち戻る意味などを込めた「リ・バース」。

復古大和絵師の冷泉為恭(1823〜64年)が天保の飢饉(ききん)でコメが配給される様子を描いた『天保施米図』(50〜54年ごろ)をはじめ、現代美術家・ポップアーティストの村上隆さんが4枚のキャンバスに托鉢(たくはつ)を描いた『視覚の座』(1996年)、最初期の収蔵品で23年ぶりの展示となる500年前の『織物装飾椅子』、南蛮文化の影響が色濃く表れた十字架が描かれた『赤織部沓茶碗』など8点を展示した。

『織物装飾椅子』は7〜8メートル離れた場所に来館者が実際に座れる別の椅子を置き、向かい合うことができるようにした。

第1章を担当した学芸員の湯谷翔悟さんは「コロナ禍を『常設展示がない当館の収蔵品を見てもらえる機会』と前向きにとらえ、市民に収蔵品の素晴らしさを知ってもらいたい。コロナ禍に関係なく、今後も収蔵品を見ることができる機会をつくっていけたら」と話している。

午前10時〜午後5時。観覧無料。第1章は14日まで。第2章は16〜28日、第3章は30日〜7月12日。月曜休館。

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