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東海愛知新聞

防犯用「刺股」手作り

岡崎市連尺小の石川さんが廃材使い

岡崎市連尺小学校1階の1、4年生と特殊学級の6教室、職員室、保健室に、廃材を使った手作りの刺股さすまたが置かれている。作ったのは同校赴任7年目の校務員、石川敏さん(44)。「1年半ほど前、刺股を使った防犯教室を紹介する記事を見て『自分で作れないか』と思って」と話す。
 石川さんがこれまでに作ったのは計12本。このうち、同校に8本、製作を頼まれた常磐東小学校に3本、広幡幼稚園に1本ある。連尺小では、不審者が狙いやすい校舎一階に置いた。1本作るのにかかる時間は2時間程度。「技術はそれほどいらない」という。
 市販されている刺股を購入すれば話は早いが、刺股に関する行政の支援がない学校の台所事情は無視できなかった。何を材料に作るかを模索していた矢先、目に留まったのは老朽化で処分される前の児童の机やいす、柄が付いたほうき、ホースといった廃材。
 学芸会の大道具や飼育小屋作りなど、校内の大工仕事を一手に引き受ける石川さんは、雨の日や放課後に作業場にこもり、廃材をばらして1本1本作り上げた。
 最初にできた刺股は、ほうきの柄の先に付けた机の脚が不安定に揺れ動き、思うように相手の動きを止められなかった。そこで、連結部分を鉄の板で補強することで固定、これ以降から補強部分にアルミ素材を使い軽量化を図ったり、短く切ったホースを柄に巻いて滑り止めにしたりと改良を重ねた。最近、不審者侵入訓練で使った同校の男性教諭も「使い勝手はすごくいい」と好評だ。
 器用な石川さんだが、本音は「刺股なんて必要ないのが一番」。今後は「できればもっと幼稚・保育園にも置いてほしい。小・中学生以上に、抵抗すらできない幼児が狙われやすいから」と、心から安全を願う。
 石川さんは「ゆくゆくは女性の保育士さんでも作れるような構造にしたい。他校でも希望があれば作り方を教えます」という。「子どもたちはもちろん、自分も守るために」。
 捨てられるはずだった廃材から生まれた“心が宿る”刺股は、子どもたちや教諭らにとって、どんな防犯グッズよりも心強いはずだ。

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