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東海愛知新聞

ALS解き明かす

岡崎の宇理須さん 資金援助で研究加速

元名古屋大学客員教授で自然科学研究機構分子科学研究所名誉教授の宇理須恒雄さん(74)=岡崎市=がこのほど、難病「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)の発症メカニズムを探るための解析装置の試作機を完成させた。クラウドファンディング(インターネット上での資金調達)サイト「CAMPFIRE」で開発資金を集めながら実用化に向けて研究を進めている。()

ALSは脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝達する「運動神経細胞」が何らかの形で損傷して発症するとされ、重症化すると死亡することもある。ALSを含めた神経に関わる難病は1万以上の病状があり、治療薬を選ぶのに原因となる神経や遺伝子の解明が重要になる。現在は神経細胞に1つずつ電流を流して状態を調べる。

宇理須さんの装置は患者から採取した血液や皮膚細胞を培養し、脳内を疑似再現した神経細胞ネットワークに電流を流して異常を探す。複数の細胞を同時に調べられる装置は世界初。試作機は4点を同時測定できる。現在は測定結果の精度向上や高性能化などに向けた実証実験を行っている。

宇理須さんは親交のあった研究者からALSの原因解明を依頼されたことをきっかけに解析装置を開発。年齢や非正規教員という立場などで補助金ベースの資金調達が困難になったことから、2019(平成31)年2月に初めてクラウドファンディングを利用し、300万円以上の支援を受けて試作機を完成させた。

しかし、今年3月末で客員教授を退職したため、同大での開発を断念。そんな中、手を差しのべたのが幸田町の仏壇職人都築数明さん(48)だった。協力を得てベンチャー企業「NANORUS」を2月に設立し開発環境を確保。都築さんは後輩がALSを発症し「何かしてあげたい」という思いから、仏壇の修繕で知り合った宇理須さんを経営や広報でサポートしている。

現在は明大寺町の同機構生理学研究所で実験を続けているが、宇理須さんの自宅近くに研究所を建設中で9月には拠点を移す。だが、資金調達や研究員の確保、電子回路開発での協力者探しなどで課題は残る。

資金調達のため4月18日に再びクラウドファンディングを始めたところ、ALS患者の関係者らの支持を受け、25日時点で460万円以上の資金が集まった。宇理須さんは「資金が確保できれば研究員の増員や研究協力依頼ができて装置の実用化を早めることができる」と喜んでいる。

6月10日まで支援を受け付ける。支援者には金額に応じて返礼品を用意している。

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