東海愛知新聞バックナンバー

 12月1日【火】

日本になじむ一助に

幸田の浜原さん 日本語サロンに尽力

週末になると幸田町内外から日本語を学ぶために外国人が集う同町国際交流協会(KIA)主催の日本語サロン。会場の町まちづくり会館で、多い時にはボランティアの講師を含む30人以上が集まる中、ひときわ意気盛んなのが、約20年間講師を続けている同町大草の浜原弘也さん(55)だ。(大山智也)

浜原さんはデンソー幸田製作所に勤務しており、空いた時間や休日にKIA会員として日本語サロンの運営をはじめとしたKIAのボランティア活動に取り組んでいる。

浜原さんがボランティアに興味を持つきっかけとなったのは、幼少のころ経験した自宅のぼや騒ぎ。家具や衣服などが焼けて困った時に近所の住民が親身になってくれた経験から、「助け合う心を持って、人のためになることをやろう」と心掛けるようになったという。

高校でボランティア部に入部し、会社でも社内ボランティア活動に積極的に参加。平成8年に社内ボランティアを通してKIAが日本語サロンの講師を募集していることを知り、以前、日本語がうまく話せずに困っている外国人の姿を目にしたこともあって、参加を決意した。

講師を始めた当初は生徒との言葉や文化の違いに苦労し、多くの失敗を経験した。それでも、生徒の母国語でのあいさつを実践したり、他の講師のために指導教本を自作したりするなど努力を重ねた結果、講師のまとめ役に。現在は運営にも携わり、町とKIAが主催する日本語ボランティア養成講座の講師も務めるまでになった。

日本語サロンは「社会生活に役立つ実践的な日本語の習得支援」を目的に、毎週日曜の午前10時から開講されている。ベトナム、フィリピン、中国など生徒の国籍はさまざま。講師は、浜原さんを含む10〜60代の男女約10人が務めている。

1回の指導時間は1時間30分。基本は講師1人が生徒1〜2人を教え、生徒の人数が多い場合は習熟度や目標に応じた班ごとにまとめて指導する。日本語学習用のテキストを使うこともあれば、生徒が日常生活の中で出会った日本語を題材にすることも。画一的ではなく、生徒の希望に合わせて単語から丁寧に教えてもらえるとあって、口コミで生徒が増えているという。

課題は、講師不足の解消。より質の高い指導には一対一が望ましいが、現状の講師の人数では対応できないのが実情だ。「ボランティアである以上無理強いはできませんが、生徒のためにもやる気と責任感がある講師が求められます。こうした人材の発掘と育成が急務」と浜原さん。広報活動を強化して新たな講師を募るとともに、すでに参加している人の指導力向上を目指す。

「日本語が分からずに苦労する外国人を1人でもなくすのが日本語サロンの役割。この活動が、外国人が安心して暮らせる多文化共生社会の実現につながればいいですね」

日本語サロンに関する問い合わせは、Eメール(k-i-a @ ar.wakwak.com)で。