東海愛知新聞バックナンバー

 3月1日【日】

岡崎市美術博物館 4月から休館

“生命線”空調 などを回復

岡崎市美術博物館が、今年の4月1日から来年の3月末まで1年間休館し、老朽化が著しい基盤設備の大規模な改修を行う。平成8年7月の開館から19年目を迎える同館では数年前から、美術品を保管する上で美術館や博物館の“生命線”ともいえる空調設備の劣化などが目立っていたが、年間に数回の展示会を常時2、3年先まで計画し、次回の展示会まで10日間ほどの期間しか空かないため、これまで改修に踏み切るタイミングをはかりかねていた。(今井亮)

■開館後初 改修期間は1年

1年間の休館を要する基盤設備の改修は開館以来、初めて。あす2日に開会する市議会3月定例会に上程される一般会計当初予算案に、改修費用約3億円を計上しており、3分の1以上が空調設備の改修や更新に充てられる見込み。

同館の空調設備は、配管が破裂するなどして老朽化。定期的な保守点検では対処しきれない不安定な状態に迫られている。高温多湿や乾燥時期を避けて行う改修で、国指定文化財や寄託品、歴史資料など約4万8000点に及ぶ収蔵品の保管に欠かせない一定の湿度や温度管理が安定化する。

このほか、外観で特徴的なガラス張りのホール「アトリウム」のカーテンである電動ロールスクリーンを更新。スクリーン72枚のうち半数が故障で不作動となっており、景観上の理由で3年前から、作動するものも含めて全て下ろしている。

展示室は、度重なる展示会の会場設営で釘、画鋲の穴が目立つ壁や、しわが発生している床のじゅうたんを更新する。また、保安設備の自動火災報知、展示室照明システム、場内監視カメラなどの各設備を、いずれも改修・更新する。

同館は「貴重な文化財をこれまで以上にしっかり保存、活用しながら長く後世に残していくため、基盤設備をしっかり整備することで、来場者の利便性向上を図りたい」と話している。改修後の開館再開予定は来年の4月上旬。