東海愛知新聞バックナンバー

 1月18日【日】

社明運動作文で大臣賞

「許してやらない」
幸田北部中 上村彩奈さん

幸田町北部中学校3年の上村彩奈さん(15)が、このほど行われた「第64回“社会を明るくする運動”作文コンテスト」で最優秀に当たる法務大臣賞を受賞した。受賞作は、上村さんが小学1年のころ交通事故で亡くなった、弟裕樹くん=当時(3)=への思いと向き合って書いた「許してやらない」。(横田沙貴)

昨年7月の彦左まつりの会場で、同運動を紹介するパンフレットを受け取った。8月に入り、犯罪者や事故の加害者が服役を終えて立ち直り、社会復帰していくためのしくみや、地域社会とのつながりをつくることで再犯を防ぎ、社会復帰を助ける「更生保護」について調べた。

上村さんの中には事故の加害者に対する強い怒りが今も残っており「一生許してやらないと思っていた」。だが「調べていくうちに『許してやらない』の一点張りではいけないと気付いた」という。

結びには「弟にしたことは今でも許せない。しかし、『許せない』という気持ちと社会で受け入れず、排斥することは別だと思えてきた」と今の心境がつづられている。

「弟をこんな目に合わせた人に怒りはあるけれど、私自身が具体的に何に怒っていたのか分からなかった。作文を書く中で、私の気持ちが整理できました」と目に涙を浮かべながら振り返った。

「作文を書き終えても、やはり『許してやらない』と思う。けれど、今回のことがなければ更生保護などについて考えることもしなかった。今後は社会復帰のために立ち直ろうとしている人たちを受け入れ、支えたい」

同コンクールは今年で22回目。全国から29万90点(小学生11万9090点、中学生17万1000点)の応募があった。上村さんらは16日、大須賀一誠町長に受賞を報告した。