東海愛知新聞バックナンバー

 9月14日【金】

岡崎のむらさき麦 成分分析

商品の付加価値発見に期待

愛知学泉短期大学(岡崎市舳越町)食物栄養学科の講師、横田正さん(39)=農学博士=が、静岡大学農学部との共同研究として、松尾芭蕉の句にも詠まれた、同市藤川地区で栽培されている「むらさき麦」の成分分析を進めている。12月に同地区で開駅する道の駅「藤川宿」の指定管理者などが、むらさき麦を使った商品開発に力を入れており、「商品の付加価値となるかも」と分析結果に期待を寄せている。(今井亮)

愛知学泉短大講師の横田さん

戦後に途絶え、幻となっていたむらさき麦の栽培が18年前に復活して以来、初の試みという。道の駅を指定管理する共同事業体の1社、岡崎パブリックサービスが今年4月に分析を依頼した。

横田さんは「高速液体クロマトグラフィー」と呼ばれる分析機器を使用し、約2カ月かけてむらさき麦の特徴的な色素を分析。その結果、ブルーベリーや黒米には及ばないものの、フェノールの1種で生活習慣病予防に有効とされる「アントシアニン」が、大麦類の中では多量に含まれていることが判明した。

検知されたアントシアニンは2種類。1つは、一般的に体脂肪の蓄積抑制効果で知られる「シアニジン3グルコシド」。しかしさらに高い数値を示したもう1種は特定できなかったため、静岡大学農学部の精密分析による結果を待っている。

横田さんは「特徴的な色素は見て楽しむだけでなく、体にも良い。うまく食品に取り込むことができれば、むらさき麦の新たな価値が生まれるのでは」と話している。

試作食品次々に

岡崎パブリックサービスと同地区の住民らで構成する「藤川まちづくり協議会」は約2年前から、市内の食品製造業と協力し、むらさき麦を活用した商品開発を試行錯誤している。むらさき麦を練り込んだうどんやそば、パン、クッキー、かりんとう、独特な舌触りを売りにしたソフトクリームなどを試作した。

担当者は「初めて試みた分析そのものに意味がある。分析結果を加えてむらさき麦の魅力を明確に打ち出し、むらさき麦を『地区の名物』から『岡崎の名物』にしたい」と力を込める。