東海愛知新聞バックナンバー

 6月27日【日】
岡崎市森越町の長瀬八幡宮

足掛け6年 住民が手作業で整備

末社の改築や拝殿の改修

岡崎市森越町、長瀬八幡宮の整備が住民の手で行われている。氏子会(手嶋優会長)と整備運営委員会(太田俊征会長)が、足掛け6年をかけて末社の一部を改築し拝殿を改修、周辺の竹薮を伐採した。現在、末社のうち最後になった伊勢社を改築中で、今年10月の大祭で完成式を開くことにしている。住民らは「作業はすべて人力。話し合いながら作業を進める中で、住民同士の輪が広がった」と話している。(大津一夫)

■10月の大祭で完成式

平成17年、神社周辺で竹薮が目立ち、末社の1つ、稲荷社が傾きかけているのを太田さん(65)と、顧問の鈴木昭市さん(78)が改修しようと思い立ったのがきっかけ。

翌18年8月、町内の役員や氏子会の会長経験者らに呼びかけ、整備運営委員会を組織した。

広さ約7700平方メートルの境内には、

―と、新たに設置した稲葉社を含め9つの末社がある。17年には稲荷社、18年に弁財天、19年に熱田社、20年から21年にかけて御鍬社を改築。この間、拝殿の床下や山門の土台を整備した。

また竹薮を伐採した跡地には、スギの苗木150本を植栽。子どもたちが遊ぶことができる公園も設けた。

土曜日に行われる作業には毎回、有志30人ほどが参加。古くからの住民の記憶と昔の写真を参考に図面を作り、石積み、祠(ほこら)の組み立てを進めた。

自動車整備会社を営む鈴木さんは、自宅の工場をほこらの組み立て場に提供。資材は地元の建築会社や住民の親類から安く提供してもらい、壊れた道具は直して使った。

改修は手作業。素人のため、途中で寸法が合わなくなったこともあったという。

26日は小雨の中、境内で伊勢社の土台の石組みを造り、鈴木さんの工場では祠の組み立て作業が行われた。

「ありとあらゆる所を手直ししました。できる限り丈夫に、しっかり造りました」と住民らは胸を張る。

中心になって作業を進めてきた太田さんと鈴木さんは、「皆で力を合わせてやったのがよかった。神社が明るくなり、防犯にも役立つ」と話し、「これで住民が集まる4月の桜まつり、7月の納涼まつり、12月の忘年会が楽しみ」と笑顔になった。

今後も、山門脇の塀や遊歩道の整備などを検討していきたいという。

■長瀬八幡宮
社伝によると康平6(1063)年、源頼義により勧請された。永禄3(1560)年、桶狭間から撤兵する松平元康(徳川家康)が岡崎へ帰る途中、矢作川の増水のため同神社で待機。森の中からシカが出てきて川を渡るのを見て矢作川を渡り、無事、大樹寺に入ったとされる。シカがいたとされる「鹿ヶ松」は昭和28(1953)年、マツクイムシの被害で伐採された。

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