東海愛知新聞バックナンバー

 6月11日【金】

1年かけて模型作る

岡崎 小豆坂古戦場
伝承会員ら「鳥瞰」に

岡崎の住民組織、史跡小豆坂古戦場保存伝承会(倉田長会長)が1年がかりで「小豆坂古戦場鳥瞰地形模型」を製作した。開発で失われた「土地の記憶」を保存し、次代を担う子どもたちに伝えようという試みの1つ。縦0.9メートル、横1.5メートルの模型には「記念碑」などの位置が示され、前面のボタンを押すとランプが点灯する。同会では、多くの人に見てもらおうと設置場所を検討している。(大津一夫)

小豆坂の合戦は天文11(1542)年と同17年の2度にわたり小豆坂一帯で、今川・松平軍と織田軍が激突した戦い。戦死者が多く、伝承会では戸崎町にある「小豆坂古戦場碑」の前で2年に1度、慰霊祭を開いている。

会長の倉田さんは、宅地開発などでかつての地形が変わってしまう中、模型として後世に残したいという考えを抱いていた。具体的な模型作りの企画を市に提出したところ、平成21年度の市民公益活動助成金制度による20万円の補助が決まった。

昨年7月、模型作りに携わる人を募集し、会員とボランティア合わせて7人ほどが参加。岡崎むかし館主任専門員・野本欽也さんの助言を受けながら、毎週1回、市小豆坂学区市民ホームに集まり製作してきた。

昭和33(1958)年の3000分の1の地図を元に、発泡スチロールを削って起伏を作り、地形や遺跡の位置を復元。水彩絵の具などで色を塗った。

今では消滅した「血洗池」「馬洗池」や、4代目という「槍立松」のほか、岡崎城、生田城跡、五本松遺跡、地区内の学校などの位置を示した。模型は高さ1.2メートルの台に乗せ、子どもたちにも見やすいよう配慮した。

製作に携わった会員らは、「学校の教科書で学んだことが、身近に感じられた」「自分の記憶が役立ってうれしい」などと感想を話す。

助言した野本さんは「地域を愛する気持ちが復元へのエネルギーになった。手作りした皆さんの思いが伝わってきます」と話し、「こうした地域の歴史を後世に残すことが地域づくりの1つ」と高く評価した。

手引書作成も

倉田会長は「皆さんの努力で立派な模型が出来ました。感謝しています」と話し、会として学校などに設置することを働きかけていく。また同会では、地域の史跡を見ながら家族やグループで散策ができる手引書を作ってはどうか、と話し合っている。


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