東海愛知新聞バックナンバー

 4月16日【金】

トラがサルを脅す

アイシンAW製作 動く縫いぐるみ
被害に悩む岡崎・大幡に設置

サルによる農作物被害に頭を悩ませている岡崎市大幡町に15日、日本古来のからくり人形の仕組みを応用してトラの縫いぐるみが駆動する装置が設置された。生産技術の向上を目的に、からくり人形を製作しているアイシン・エイ・ダブリュものづくりセンター生産技術本部工機部が手がけた。(今井亮)

同町の総代によると、町内では約3年前からサルによる農作物被害が増加。多い時では100匹以上のサルが農作物を食い荒らすという。町内でアンケートを実施したところ、115戸のうち6割の世帯で年間5回以上のサルの被害を受けていることが分かった。

事態を受けて、町内では住民7人で「猿害対策を考える会」を結成。被害が後を絶たない中、同会のメンバーで農業を営む佐野馨さん(80)が約2年前、畑にトラの縫いぐるみを置くとサルが寄りつかなくなった。しかし1年も過ぎると、動かない縫いぐるみに慣れたサルたちが再び畑を荒らすようになった。

そこで、サルに対する効果があったトラの縫いぐるみを動かす駆動装置の開発を、安城市の同社に依頼。同社は工業廃材のアルミや木材で、電力を使わずに歯車などで動くからくり人形の仕組みを応用して開発した。

装置は動力源となる小型の風車が回ると、縫いぐるみが上下左右に動いて目を青く光らせ、「ガオー」という鳴き声を発する。無風状態の時は装置に取り付けたソーラー電池を動力源に風車が回る。材料費約10万円は同社が負担した。

この日は、同町公民館で贈呈式が行われた後、開発に携わった従業員らが佐野さん宅の敷地に装置を設置。佐野さんは「ありとあらゆる農作物を荒らすサルの被害に10年以上、頭を抱えてきました。この装置で被害がなくなることを期待しています」と話していた。


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