エフエムEGAO

番組へのおたより・リクエストはこちら 763@fm-egao.jp その他 局へのお問い合わせはこちら info@fm-egao.jp

東海愛知新聞

岡崎市美博

鎌倉仏像の至宝42体

写実彫刻の迫力 レイアウトや照明にも工夫奈良「興福寺国宝展」にぎわう

岡崎市高隆寺町の同市美術博物館で「興福寺国宝展〜鎌倉復興期のみほとけ」が始まり、連日多くの来館者でにぎわっている。
 奈良興福寺は、7世紀後半に建立された山背国やましろのくに(現京都府南東部)の山階やましな寺に起源を持つ。和銅3(710)年の平城遷都に際して現在地(奈良市登大路町)に移され、興福寺と称されるようになった。
 治承4(1180)年、源平の戦いの中、平重衝の南都焼き討ちによって建物がすべて焼失。復興は、翌年から13世紀前半にかけて行われた。
 この復興造営期に活躍したのが、康慶、運慶、定慶らで仏教彫刻の新しい流れを作った。
 今回の展示について学芸員の浦野加穂子さんは「鎌倉仏像の国宝22体、重文20体が一堂に展示される機会は二度とないでしょう。運慶に代表される『慶派』の力強い写実彫刻の迫力を感じてほしい。照明やレイアウトも工夫して荘厳な雰囲気の中で鑑賞していただけるようにしました」と展覧会の見どころを説明する。
 会場に入ると最初に、運慶作国宝「無著むじゃく・世親せしん菩薩立像」2体が来館者を迎えてくれる。慈顔の無著、厳しい表情の世親、鎌倉彫刻の頂点と言われるだけあって深い芸術性を感じさせる。来館者は、1.9メートルの立像を見上げたりのぞき込んだりしていた。
 会場の奧中央に展示された康慶作重文「四天王立像」は、外側を向いて方形に配置され、彫刻の細部や背中まで見ることができる。
 国宝「金剛力士立像呵形」や国宝「龍燈鬼りゅうとうき立像」の前ではじっくりと鑑賞する人が多かった。
 展示は、これら彫刻のほか、神仏習合の思想を表す春日社曼荼羅まんだら図、興福寺内の絵所えどころに属して活躍した絵師の作品、興福寺で学んだ法相宗の学僧解脱げだつ上人貞慶じょうけいの彫像や画像、真筆など、全部で六部に構成されている。 
 安城市から来た美大生板谷美土里さんは「以前無著立像を写真で見て実物を見たいと思っていました。会場に来てこれだけの作品が一度に見られて感動しました。スポットライトで作られる陰影がすばらしいです」と図録を手に熱心に鑑賞していた。
 同展の会期は、来月27日まで。月曜日休館。ただし、3月21日は開館、22日は休館。
 入場料は一般1,000円、小中学生500円。
 岡崎市内の小中学生は無料。

ページ最初へ